国内で水揚げされる4大ガニ
2020/12/06
|タラバガニ|ズワイガニ|毛ガニ|花咲ガニ|
日本での水揚げの多い四大ガニは「タラバガニ」「ズワイガニ」「毛ガニ」「花咲ガニ」です。
カニ漁獲量は2018年度は、おおよそ24,100tでした。
国内のカニ漁獲量は1位が約24%を占める北海道。
2位の鳥取県、3位の兵庫県、5位の島根県と山陰地方の3県だけの合計は全体の38%にも達する国内のカニ大国です。
北陸地方では4位の新潟県が全体の10%を占めています。
内訳は、毛ガニやタラバガニは北海道がほぼ独占、ズワイガニは鳥取県や兵庫県、島根県が断トツ多く、紅ズワイガニについては島根県が群を抜いた漁獲量です。
日本全体のカニ漁獲量は1968年に117,000tのピークを迎えました。
1980年代にも10万tを越えますが、それ以降は激減しています。
現在では、タラバガニやズワイガニは、多くが海外輸入され国内に流通しています。
1.タラバガニ
タラバガニを漢字でかくと、鱈場蟹。
大きい物で甲幅は25cmほど、脚を広げると1mを超えます。
カニとは呼ばれていますが、カニの形をしたヤドカリです。
普通のカニはハサミを含めて脚が5対(10本)なのに、タラバガニは脚が4対(8本)しかないように見えます。
5対目の見えない脚2本は小さくて、エラ(鰓室)内にさしこまれています。
このため、甲は丸みがあり、やや前方に尖った五角形をしてます。
この小さな2本の脚はハサミ脚で、エラ内の掃除等に使われているようです。
また、ヤドカリの仲間には左右のハサミの大きさの異なるものが多く、寒海のカニは右のハサミが大きく、暖海のカニは左のハサミが大きいという特徴を持っています。
タラバガニは右側のハサミ脚の方が左側よりも大きいですよ。
体も足も大きく太く身が引き締まっているため、プリプリとした肉質食感を楽しめて、食べごたえが十分あります。
残念なことに、カニミソは油分・水分が多く生臭さがあって通常は食用にされていません。
旬は漁期の4~5月と11~12月です。
2.ズワイガニ
ズワイガニを漢字でかくと、楚蟹。
ズワイガニの甲は膨らみがある三角形で、オスの甲幅は大きくて14cmくらい、メスはその半分の大きさになります。
脚は細く長く、ハサミ脚を含めて5対(10本)あり、第2、3,4脚は他脚より特に長く、大きなオスが脚を広げると70cmほどにもなり、甲から細い木の枝が伸びるような姿です。
身はぎっしり詰まっていて肉質は上品で甘みがあり、濃厚なカニ味噌など、カニのうま味を存分に味わうことができます。
冬における味覚の王様として人気のカニです。
塩茹、蒸し料理、鍋、しゃぶしゃぶ、寿司、刺身、缶詰として、カニミソ、卵巣も食べられています。
ズワイガニの漁獲時期はオスとメスの時期は違いますが、10月から翌5月まで。
また、11月〜12月の時期に、限られたエリアでしか入手できないメスのセイコガニ(セコガニ・香箱ガニ)は卵を抱いています。
外から見えるシャキシャキとして美味な外子、体の内側にある赤い身の内子は濃厚な味わいで珍味中の珍味で、かに味噌を超えるともいわれています。
ズワイガニは、水揚げされる地方によって呼び名が多彩で、オス、メスによっても色々と呼び名があります。
「松葉かに」「香箱ガニ」「越前蟹」などは聞き覚えがあると思います。
各地方による呼び名
オスのズワイガニ
◑ ホッカイマツバガニ・・・ロシア、北海道、青森県、山形県、新潟県、富山県で水揚げ。
オオズワイガニもホッカイマツバガニと呼ばれる。
◑ タラバガニ・・・秋田地方で水揚げ。
◑ マイセツガニ・・・秋田県男鹿漁港で、12月25日~2月末日に水揚げされ、800g以上で脚が揃っているもの。
◑ カノウガニ・・・石川県で水揚げ。
◑ 越前ガニ・・・福井県で水揚げ。
◑ 松葉かに・・・山陰地方で水揚げ。
◑ 間人(タイザ)ガニ・・・京都府京丹後市間人漁港で水揚げ。
◑ アミノガニ・・・京都府京丹後市浅茂川漁港で水揚げ。
◑ カスミマツバガニ・・・兵庫県香美町香住漁港で水揚げ。
◑ カスミガニ・・・兵庫県香美町香住漁港で水揚げ。
◑ シバヤマガニ・・・兵庫県香美町柴山漁港で水揚げ。
◑ ツイヤマガニ・・・兵庫県豊岡市津居山漁港で水揚げ。
◑ ハマサカガニ・・・兵庫県新温泉町浜坂漁港で水揚げ。
◑ トットリマツバガニ・・・鳥取県で水揚げ。
◑ ミズガニ・・・京都丹後地方で脱皮直後の呼び名。
◑ ワカマツバガニ・・・鳥取県で脱皮直後の呼び名。
◑ ヨシガニ・・・山形県で水揚げ。
メスのズワイガニ
◑ 香箱ガニ・・・石川県
◑ セコガニ・・・福井県、兵庫県
◑ コッペガニ・・・京都府
◑ オヤガニ・・・鳥取県、島根県
◑ メスガニ・・・山陰地方
◑ セイコガニ・・・福井県で水揚げ
紅ズワイガニはズワイガニの近縁種で、身は甘みがあり、水分の多いカニです。
漁獲量が多く、水分が多いこともあって、カニフレークや缶詰などの加工食品に使われることが多いようです。
3.毛ガニ
甲羅はわずかに縦長の円形で、大きい物で甲長12cm、オスの方が大型です。
全体的にずんぐりして、淡赤褐色で、殻は硬くはなく短い剛毛が密生しています。
のこぎりのようなトゲが両眼の間に4つ、甲羅の側面に7つあります。
脚もハサミ脚も太く、ハサミ脚を含めて5対(10本)あり、太く短い毛とトゲが密生しています。
漁の場所は、日本海沿岸、茨城県以北の太平洋岸となり、北海道では、春はオホーツク海、夏は噴火湾、秋は釧路、根室沿岸、冬は十勝沿岸と漁期は通年です。
漁の対象となるのは甲長8cmを超えるオスだけです。
ズワイガニやタラバガニに比べると体が小さいですが、身に甘みがあり美味しさが格上で、美味しいカニミソの量も多いのが特徴です。
4.花咲ガニ
タラバガニの近縁種で、これもヤドカリの仲間に分類されます。
甲の幅長とも15cmほどで、甲殻類としては大型ですがタラバガニほどは大きくはありません。
甲は後部中央が少しへこんだハート型をしています。
タラバガニよりも体のとげが長く、脚はハサミ脚を含めて4対(8本)で太く短いのが特徴です。
北海道周辺では納沙布岬から襟裳岬付近の太平洋側と、根室半島のオホーツク海側などコンブの生えている海域に多く生息し、漁獲の中心は納沙布岬周辺海域です。
漁獲対象は毛ガニ同様、甲長8cmを超えるオスだけです。
今では北海道以外はほとんど流通がなく、希少なカニになりました。
水揚げが極端に少ないので、通年の冷凍商品が多く、活カニ、ゆでたてのカニは大変貴重な商品です。
脚の肉が太く身も多く、海老のような濃厚なコクと甘みが特徴です。
メスの外子・内子もとても珍味です。
ただし、油分が多く味が濃厚で独特の甘い香気がある為、たくさん食べるのには不向きのようです。
刺身など生で食べるよりも塩焼、塩ゆでが美味しい。
カニミソは油分・水分が多く生臭さがあるので、通常は食用にされません。
殻が硬くてトゲも多いので、殻をむくにはキッチンバサミなど必要かも。
旬は5月から9月。
冷凍ガニを解凍する方法
急激に解凍すると、カニの旨味成分が流れ出てスカスカの状態になってしまいますので、時間をかけて解凍します。
1)氷水解凍
カニが入る大きさの容れ物に、水10と氷3の割合で氷水をつくります。
冷凍されたカニをビニール袋などに入れて、氷水に隠れるくらいに浸します。
氷がなくならないように時々氷を追加してください。
ビニール袋内に水が入らないように注意です。
解凍時間の目安として
タラバガニの本体 5時間位
タラバガニの脚 4時間位
ズワイガニの本体 4時間位
ズワイガニの脚 3時間位
毛ガニ全体 3時間位
2)冷蔵庫での自然解凍
甲羅を下側してお腹側を上にして旨味成分が流れ出てしまわないようにします。
乾燥しないように新聞紙などに包んで解凍してください。
冷蔵庫の中で1日~1日半かけて、ゆっくり自然解凍します。
どちらの解凍も、殻を指で押し、弾力を感じるのが目安ですが、8分目の解凍でも美味しく食べられます。
解凍したカニはその日のうちに食べるようにして、再冷凍は絶対にやめたほうが良いでしょう。
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