川・運河・お堀から遊覧船で町並みと風景めぐり
普段は脇から見下ろしている川、運河、お堀、そこから一段下がった目線で周りを見ることで、見慣れた日常の街や風景とは一味も二味も違って斬新に感じることも。
春には桜を、夏には涼を求めて、秋には紅葉など、合わせて楽しめることもできます。
海岸の遊覧と違い、街中をぬうように進むのは街中探検船のようです。
川は氾濫すると被害も与えますが、ときには癒しも与えてくれる身近な存在です。
運河は、船の移動のために人工的に造られた水路であり、交通手段として人や物の輸送に大きな役割を果たしました。
しかし鉄道や道路整備によって運河は埋め立てが進みます。
江戸(東京)や大坂を含め多くの都市にも運河網が張り巡らされていましたが、明治以後は多くが埋め立てられました。
堀は、敵などの侵入を防ぐため、お城や集落などの周囲に掘られた溝で、空堀と水を貯えた水掘があります。
現在では川をはじめ、運河や水路・お堀を使って観光する遊覧船、屋形船、クルージングなど、期間限定から日常化されるところも少なくありません。
そこで北は北海道から南は沖縄まで16都道府県の川、運河、お堀をめぐる遊覧船を、少しでも多く紹介させて頂きます。
◇ 東日本 ◇
小樽運河
北海道小樽市
内陸を掘った運河ではなく、海岸の沖合いを埋立てて造られ、緩やかに湾曲しているのが特徴です。
戦後、運河の使命は終わり、その後十数年に及んだ運河埋立てか存続かを巡る論争の末に、昭和61年、一部を埋立て、幅の半分が道路となり、散策路など整備された現在の姿に生まれ変わりました。
散策路にはガス灯が設置され、運河沿いの石造倉庫群は当時の姿のまま残されて、レストランなどに再利用されています。
現在の運河の全長は1140m。
約40分のクルージングです。
年末年始も休まず毎日運行。
弘前城の堀
公園内は約2600本もの桜が埋め尽くし、春は「みちのく三大桜名所」とも言われる見事な景色ですが、弘前城の堀の遊覧舟から見る桜も一味違います。
中濠の石橋前乗船桟橋から弘前城二の丸辰巳櫓を曲がり、杉の大橋をくぐって折り返し、来たコースを戻る20分ほどの遊覧が楽しめます。
西濠では桜がトンネルのように咲き誇り、有料貸しボートもあります。
それぞれ、さくらまつり期間限定の運行です。
巴波川(うずまがわ)
栃木県栃木市
明治時代など堤防が築かれる以前はたびたび氾濫し、橋をかけても2年ともたないと言われていたそうです。
昭和22年の大洪水や平成27年の豪雨被害、令和元年の台風19号の際にも氾濫しました。
しかし、栃木市内の巴波川周辺には蔵造りの建造物が多く残り「蔵の街」として親しまれています。
現在は、錦鯉が放流されており、観光用の舟が行き来しています。
所要時間は約20分で、年末年始・荒天時以外毎日運行されています。
神田川クルーズ
大阪浪華の八百八橋といいますが、東京も橋が多く大阪を超えています。
まず、探検ともいうべき「神田川クルーズ」は、日本橋の川岸にある乗場から乗船して、日本橋川、隅田川、神田川、日本橋川の日本橋のりばに戻るコースになります。
隅田川方向に向かう左回りと神田川方向に向かう右回りがあります。
左回りなら日本橋から清洲橋、柳橋、両国橋、浅草橋、万世橋、聖橋、水道橋、まないた橋、一ツ橋、常磐橋など著名な橋を沢山くぐっていきます。
神田川沿いに秋葉原、御茶ノ水渓谷をながめ、日本橋川沿いには江戸城の石垣などにもお目に掛かれます。
また、日本橋川から隅田川に入ったところから小名木川の合流地点付近間と、神田川に入る地点の2ヵ所でスカイツリーを見ることができます。
神田川は開放感がありますが、日本橋川は神田川と日本橋川の合流地点から、日本橋川と隅田川沿いの亀島川の合流地点までの間は、川面上は首都高が走っているので、日本橋川の空を望めるのはわずか500 m弱と景観はよくないです。
それでも、江戸時代からの首都東京の特異性をあじわえる100分ほどのクルーズが楽しめます。
東京の運河めぐり
日本橋川の日本橋川岸にある乗場から乗船して、日本橋川、隅田川、小名木川、小名木川のクローバー橋でUターンして隅田川へ、亀島川、日本橋川の日本橋乗場にもどるコースです。
日本橋川から隅田川へ出ると橋の合間からスカイツリー見えはじめ、国の重要文化財の清洲橋をくぐり、小名木川へ入る手前までスカイツリーが見られます。
江戸時代に作られた小名木川に入ると途中、新小名木川水門、扇橋閘門を通過します。
小名木川 扇橋閘門(おうぎばしこうもん)体験することも珍しい閘門(こうもん)とは、前扉と後扉の間の固定された閘室(前後を仕切った空間)内の水位高を変えることで船を上下させるための装置です。
標高差のある地形の河川や運河、水路を結ぶには、水位の高低差を調整する仕組みが必要になります。
門の中にいると、だんだん水位が上下しきて「船のエレベーター」のような体験が出来ます。
クルーズ船は小名木川クローバー橋でUターンして、扇橋閘門を再度通過して、ふたたび隅田川に戻り、江戸城の堀・水路跡を色濃く残す亀島川へ入ります。
亀島川は隅田川との合流点が海に近いため、高潮の発生時に川が逆流して洪水を引き起こす可能性があるそうです。
そこで2ヵ所の河口を防潮水門で完全に遮断できるように、日本橋川側の日本橋水門と、隅田川河口の亀島川水門の2つの水門がつくられています。
亀島川からふたたび日本橋川に入り、日本橋の乗場にもどります。
100分ほどのクルーズが楽しめます。
日本橋川側から見た日本橋水門、門をくぐると亀島川となり隅田川に出る前にもう一つの亀島川水門があります。
東京は川や古くからの運河も多く、あちこちの川などでお花見クルーズ運航があり、羽田空港から日本橋や浅草などへの水上交通などもあったりして、東京も「水の都」といえるかもしれません。
大岡川
神奈川県横浜市
大岡川周辺には桜並木が並び、毎年「大岡川さくら祭り」が開かれます。
船は大岡川の日ノ出桟橋や、みなとみらいのピア日本丸などから出発。
港町横浜の海からの風景とは違った趣が発見できるかもしれません。
期間限定のクルーズですが、お花見クルーズや美しい横浜の街夜景を川から楽しむことができる夜のクルーズなどが行われています。
予約がおススメのようです。
富岩運河環水公園ライン
富岩運河環水公園から中島閘門を通り、岩瀬を結ぶラインです。
クルーズの最大の見どころは中島閘門です。
富岩運河には神通川から流れてくる上流側と、富山湾に注ぐ下流側との間に日本では最大となる2.5mの水位差があり、その水面の高さを調整する為に造られた水門が中島閘門(水門)です。
所要時間は約60分と70分(岩瀬運河発)で、通年運行しています。
松川
約500本もの桜並木が続く川べりは、「日本さくら名所100選」の桜の名所でもあります。
両岸から咲く桜トンネルを行く30分のお花見船旅は、遊覧船から見ることができる桜並木として全国的にも貴重です。
桜の開花状況に合わせて、ライトアップが行われますので、夜桜も楽しめます。
準備期間の3月以外は通年運行ですが、冬季は予約運行になってます。
内川
日本のベニスともいわれ、川面に映る港町の風景を堪能できます。
内川に架かる独特なデザインの橋は、どの橋も個性的で、趣があるものばかり、遊覧船は12の橋を巡ります。
所要時間は約50分、通年運行ですが、平日は団体予約運航、土日祝のみ通常運航しています。
中川運河と堀川
中川運河は、名古屋港から、中川区の旧国鉄笹島貨物駅(廃止)の間を結ぶために掘られた運河です。
堀川は江戸時代から昭和中頃まで、木材や穀物などを運ぶように利用された運河です。
中川運河と堀川を結ぶのは松重閘門でしたが現在は閘門が閉鎖され、中川運河と名古屋港を結ぶ観光遊覧が主な運航ルートになっています。
中川運河にも港近くには、中川通船門(閘門)があって大きな水位差を体験できます。
名古屋港と中川運河は水位差が非常に大きく、名古屋港の水位は2.6mまで上がる時がありますが、中川運河の水位は高くても0.4mまでしか上がらないそうです。
門の中に入ると、「船のエレベーター」のように水位が上下します。
平成29年からは、中川運河において名古屋都心から港へ抜ける水上交通「クルーズ名古屋」の定期運航便が開始されました。
名古屋駅に近い「ささしまライブ」から「キャナルリゾート」「みなとアクルス」、「ガーデン埠頭」を通り「金城ふ頭」まで約60分の市民の足とも成る遊覧船です。
中川運河~松重閘門~堀川のクルーズは松重閘門閉鎖によって出来ませんが、堀川のクルーズの定期運航はあります。
しかし、運航の月日が事前公示されますが、便数が少ないのが残念です。
※東日本地区の各コースの運行期間は各社HPで確認して下さい。
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