ソニーブログ

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日本のロケット開発 / 試行錯誤の生産と成功への歴史

      2025/07/31

 

◇日本の宇宙開発

日本の宇宙開発は、1950年代の半ばに糸川英夫が大学の研究班から始まりました。

1955年4月に、国分寺市で長さ23cm、直径1.8cmのペンシルロケットの水平発射実験が、戦後の最初のロケット実験とされています。

ペンシルロケットの後、一回り大きいベビーロケットを開発し、最終的に高度6kmまでとどくようになりました。

地上発射型のロケットでは、カッパロケットが徐々に到達高度を伸ばし、このロケットは気象観測などにも使われています。

この時代のロケットは開発資金がなかったため、手作りで、追尾レーダーも手動でした。

毎回の失敗を繰り返しながら試行錯誤で生産され、1958年、カッパロケットの6型は高度40kmに到達し、1960年、カッパロケット8型は高度200kmを超えました。

少しずつに大型化し、人工衛星を打ち上げる研究も行うようになり、研究室から始まった宇宙科学研究所(ISAS)と、国の機関である宇宙開発事業団(NASDA)の二つの宇宙開発機関が独自にロケット開発を行っていきます。

「おおすみ」銀色の円錐台部分が本体

 
1990年代末~2000年代の初めに幾つかの失敗を経験した後、初めて統一設置された宇宙機関が、現在の宇宙航空研究開発機構(JAXA)です。

1970年代に入るとより精度の高いロケットの開発が始められます。

1970年2月11日、全段無誘導のL-4Sロケット5号機によって日本初の人工衛星「おおすみ」の打ち上げに成功しました。

おおすみの技術を元にM-4Sロケットが開発され、1号機は失敗したものの、その後は3機続けて人工衛星の軌道投入に成功して、ミューロケットの土台となります。

それでも、より大型の固体ロケットの開発は一足飛びには進みませんでした。

1977年には米国からの技術移転で作られた静止気象衛星「ひまわり」をアメリカのロケットで打ち上げでもらいます。

また、「さくら」や「ゆり」なども米国のロケットで打ち上げてもらっています。

 

探査機「はやぶさ

 

◇大型ロケットの開発成功

打ち上げには失敗続きで、宇宙機関統合後初の打ち上げとなったH-IIAロケット6号機は打ち上げに失敗しましたが、以降のロケットの打ち上げは成功しています。

工学実験を主目的に作られた「はやぶさ」は、2003年に内之浦宇宙空間観測所からM-Vロケットで打ち上げられ、2005年に小惑星「イトカワ」を探査、打ち上げから60億kmの飛行を経て2010年に地球に帰還しました。

「イトカワ」への 着陸時にトラブルがあったため、小惑星の試料を採取できていない可能性が高いとされていましたが、帰還させたカプセルの中に小惑星の試料が入っていて、これによって「はやぶさ」は世界で初めて小惑星から試料を持ち帰った探査機になり、大きな話題を呼びます。

 

種子島宇宙センター       内之浦宇宙空間観測所

 

◇種子島宇宙センターと内之浦宇宙空間観測所

日本国内で人工衛星打上げが可能なロケット発射場は、種子島宇宙センターと内之浦宇宙空間観測所の2ヶ所あります。

旧NASDA系の液体燃料ロケットは種子島から、旧ISAS系の固体燃料ロケットは内之浦から打ち上げられています。

日本のロケットは平和利用の目的のため完全に軍事技術と切り離されて発展し、2000年代初頭までは偵察衛星も開発されませんでした。

このためロケットや衛星の多くが、科学目的か商用目的を持ったものです。

 

◇固体ロケットと液体ロケット

日本の人工衛星打ち上げ用ロケットの開発の特徴は、固体ロケット系列と液体ロケット系列が並行して進められていることで、最初の人工衛星打ち上げ用ロケットの打ち上げとなった19666年のL-4Sロケット1号機の打ち上げから2013年9月末時点までに、累計94機の人工衛星打ち上げ用ロケットが打ち上げられています。

このうち82機が成功していて、成功率は87.23%にもなります。

日本のロケットの多くが固体ロケットですが、固体ロケットはペンシルロケットからつながる系譜であり、最新機種はイプシロンロケットです。

一方液体ロケットは、水素と酸素を利用する二段燃焼サイクルのLE-7Aエンジンが、主力大型ロケットH-IIAとH-IIBに利用されています。

 

 

◇気象衛星「ひまわり」

気象衛星「ひまわり」は非常に有名ですが、当時の日本のロケットは可載量が低かったため「ひまわり1号」は1977年にアメリカのデルタロケットによって打ち上げられています。

以来5号機までが打ち上げられました。

地球大気観測計画(GARP)の一環として計画されたもので、観測データは各国に提供しています。

この後、衛星「みらい」は打ち上げに失敗しましたが、同系列の衛星「ひまわり6号」は成功し、2015年には7号が運用寿命を迎え、現在は8号機が待機運用、9号機が運用して観測を行っています。

はくちょう

これらの気象衛星は現在にいたるまでひまわりの愛称で親しまれています。

また「ひまわり10号」も計画中です。

 

◇現在のひまわり

日本で一番有名な衛星は天気予報でお馴染みの気象衛星ひまわりです。

打ち上げ費用はH-IIでは190億円程度だったものがH-IIAでは120億円~80億円程度に低下しています。(2005年)

ひまわり8号・9号

現在、可搬量では劣るものの、より低価格で打ち上げが可能な固体ロケット「イプシロン」が運用されています。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の年間予算は2010年に1800億円、人員は約1600名であり、アメリカ航空宇宙局(NASA)の約1/10、欧州宇宙機関(ESA)の1/2以下という現状です。

このため、無駄に試験機を飛ばすことも失敗も許されない状況なのです。

 

◇数々の衛星たち

X線天文衛星は一度目は打ち上げに失敗しましたが、再び打ち上げられ「はくちょう」と名づけられ、以降X線天文衛星は途絶えることのないように打ち上げられています。

また、太陽観測衛星や電波衛星も打ち上げられています。

現在では遠隔操作による惑星探査に重点がおかれ、2010年に帰還が話題となった、はやぶさは小惑星のかけらのサンプルリターンに成功し、惑星探査に国民の関心を集めます。

金星探査機「あかつき」は、金星周回軌道投入の失敗の後、2015年12月7日には軌道投入されたことがわかりましたが、火星探査機「のぞみ」は、火星周回軌道投入には失敗して、火星の軌道に近い太陽を中心とする軌道上を永久に飛び続ける人工惑星となりました。

 

◇有人宇宙飛行

日本は有人宇宙飛行のための開発を行っておらず、他国の有人打ち上げに参加するしか方法がありません。

NASAの協力で毛利衛が日本人としてはじめて宇宙に行く予定でしたが、シャトルの事故によって、1990年に民間人であった秋山豊寛が、日本人として最初に宇宙に行くことになります。

彼は日本の民間人として初めて宇宙に行った人間になりました。

そして、1990年代からNASAとの協力の下、多くの日本人宇宙飛行士が宇宙へ向かっています。

国際宇宙ステーション計画では、実験棟きぼうを製作しており、日本人が宇宙に滞在することは稀なことではなくなっています。

日本は2020年までに、独自で有人宇宙飛行を行いたい方向でいます。

宇宙ステーション補給機などの技術を応用すれば、有人宇宙飛行を達成することは不可能ではありません。

しかし、確実、安全性を求められることや、予算的、政治的な余裕がないこと、現状での宇宙へ人間を輸送する必要性の少なさなどから、計画はあっても実行性は低いようです。

日本の宇宙輸送はどうなるのか 発展型H3ロケットと新宇宙輸送システム – Impress Watch

 

◇日本の民間ロケットの開発、打ち上げ

国内の衛星を日本のロケットで打ち上げ軌道にのせるため、政府のロケット開発支援事業が2023年に始まりました。

◎インターステラテクノロジズ
2003年5月設立。
低価格でコンパクトな小型ロケットの開発・製造・打上げサービスの事業。
宇宙港といわれる北海道スペースポートの人工衛星打上げ用新発射場の優先事業者。
超小型衛星打ち上げ用の小型液体燃料ロケットを開発。
2019年5月4日、開発したMOMO3号機が日本の民間ロケットとしては初めて宇宙空間に到達。(到達高度約113 km)。
現在は、小型人工衛星専用の宇宙輸送サービスを提供するロケット「ZERO」を開発中。
1段目再使用の大型ロケット「DECA」の開発計画中。

◎スペースワン
2018年7月に設立。
ロケット発射場「スペースポート紀伊」の運営と固体燃料ロケットを開発中。
2024年3月13日、「カイロス」がスペースポート紀伊より発射、数十メートル上昇したのちに爆発を起こし、打ち上げは失敗。

◎SPACE WALKER
2017年12月設立。
メタンロケットエンジンを使用して滑走路から水平に離陸して、水平に着陸する再使用型の有翼宇宙船(スペースプレーン)の開発中。
日本発の有人宇宙飛行を目指して2030年の打ち上げを目標。

◎将来宇宙輸送システム SPEXA
2022年5月に設立。
2030年代に単段式・往還型の宇宙輸送機の実現を目指す。
小型試験機の離着陸試験を繰り返し、宇宙旅行や二地点間輸送が目標。

 

 

 

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