ライフスタイルや意識の変化によって、ペットの寿命がこれまでになく伸びています。
子犬から成犬へ、そしてライフステージ後半の老いて死ぬまでの過程は人間と変わらず、介護が必要とされるものになりました。
初めて飼った愛犬を見送ることで感じた悲しみや辛い気持ちといっしょに、今いろんな思いをかみしめています。
どんなに心が痛んでもそれが思い出す便になるのなら、ずっと悲しいままでいいのです。
忘れられません。
今年2月、誰よりもそばにいてくれた愛犬を亡くしました。
ダルメシアンの女の子で16歳でした。
老衰により、眠ったまま安らかに息をひきとったようです。
16才は人間の年齢に換算すると80才です。
充分だったのかもしれません。
お世話になった獣医さんも、「この犬種にしてはがんばって生きてくれたね!」と言ってくださいました。
お悔やみのお花まで贈っていただき、たいへん力つけられました。
しかし数ヶ月たった今でも、悲しみがうすれていきません。
それは悔いが残っているからです。
連日の介護に疲れ眠ってしまい、冬の朝方、誰にも看取られずにひとりで逝かせてしまいました。
さぞさみしかっただろうと悔やんでも悔やみきれません。
ダルメシアンはスポットが愛くるしいだけでなく、性格もとても素直でやさしい犬種です。
スラリとしていて身体能力に優れており、バネのような走りには本当に魅了されます。
活発な反面、雷が大嫌いで膝に乗ってきて鳴いたり、こわがってオシッコしてしまったりもありました。
犬種によるのではなく個性でしょうか?。
ちょっとおどおどしていて用心深いくせに、時々間抜けなことをして笑わせてくれました。
笑うといえば、心からうれしいときに犬が笑うのを初めて見ました。
歯を「イーッ」とむきだして一見怖い顔なのですが、ちぎれるように尻尾をふっているのです。
そのあと何度も、うれしいシチュエーションのときだけそんな表情をするので、そのうち「もしかしてこれは笑顔!?」と直感しました。
そんな秘密の顔を見せてくれる愛犬が、可愛くて可愛くて仕方ありませんでした。
そんな愛犬が最期の日の前日、寝たきりでやせほそり、鳴く力さえないというのに、1歳の甥が回らぬ舌で名前を呼ぶと「ワンワン」と応えてくれたのです。
思わず抱きしめて泣いてしまいました。
そしてペロペロなめてくるのです。
あれが、「もうお別れだよ!」の意思表示だったのでしょうね。
死を悟っていたのでしょうか。
胸が痛むような悲しみはこの先ずっと消えないのかもしれませんが、それだけが救いとなっています。
最後までありがとうです。