温泉地に求める要素は人それぞれでしょう。
効能、歴史、設備の充実さ、その中でも特に重要に扱われることの多い要素の一つが、「静けさ」や「周囲の自然」ではないでしょうか。
そんな人達を満足させてくれる温泉施設が「かなや明恵峡温泉」です。
立ち寄り湯のみがある温泉施設ですが、その露天風呂は見渡す限り360度、全てが見晴らしのいい山々の景色で、あまり知られていない知る人ぞ知る自然一杯の温泉です。
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かなや明恵峡温泉は和歌山県の有田川町にある温泉施設です。
有田という地域はみかんでは有名ですが、実は温泉も多く湧出している地域でもあるのです。
高速道路有田ICから有田川を遡り20分ほどの距離にその温泉施設はあります。
周囲は完全に山の中。
しかし山道ではありますが道幅は十分であり、片道一車線は確保されているため運転は難しくはありませんでした。
私がそこに初めて訪れたのは偶然車で通りかかっただけでした。
日高川から有田川に抜ける道の途中、小高くなった山の上にその温泉施設はあります。見た目はどこかちょっと洒落た立ち寄り湯の施設。
ただの銭湯か、と最初は思ったのですが中に入って記述を見ると、きちんとしたこの地から湧出した温泉を使った施設でした。
山の本当に頂上に位置するようなその建物が面白く、一度試してみようと入ったのがその後私が気に入る事になったきっかけでした。
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施設の内観はちょっとしたスーパー銭湯のように綺麗に整備されています。
食事処や畳敷きの休憩室もありました。
それらを抜け、まずはと風呂場に向かいます。
入浴料は600円。ただし水曜日は女性の方は半額になるというサービスがあります。
服を脱ぎ、風呂場に入ると「少しせまいかな」というのが最初の印象でした。
ですがそれが変わったのは、露天エリアに出てからです。
そこは本当に、誇張でもなく360度見渡せる場所でした。
広く取られたその露天エリアからは周囲の山々が見渡せるのです。
ちょうどぽっかりと独立した小山の頂上にいるイメージです。
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周囲は完全に開けており少し離れたところに山々が見えるだけで、さらに人家なども存在せず自然の中にいる気分満点でいられます。
広い露天風呂に浸かりながら首を回しても見えるのは青々とした木々と空のみ。
無粋な屋根すら存在せずすばらしい光景です。
ややぬるめの湯温もあって、ずっと入っていられるような心地になり、日ごろのストレスなどが一気に開放されていく気分になったものです。
その時の気分はずっと記憶に残る思い出の温泉地となりました。
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かなや明恵峡温泉はともかくその露天風呂の自然と開放感だけでお勧めの温泉です。
温泉の効能などは二の次にしたとしても是非体験していただきたいですね。
地方などでは川辺や山の中で自然を見ながら浸かれる露天風呂と言うのは確かによくあるのですが、あそこまで開けた視界で自然満点の露天風呂はほかには知りません。
都会のわずらわしさに疲れた方などには特にお勧めできるでしょう。
もしも夜に訪れることが出来るのでしたら満天の星の下での入浴が楽しめます。
周囲にほぼ無駄な明かりがありませんから、気分抜群の夜の露天風呂を楽しめます。
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立地は山奥であり、周囲には遊ぶようなところはありません。
ですがそれでも、かなや明恵峡温泉はお勧めできる温泉施設です。
もし近くに来ることがありましたら、是非立ち寄ってみてはいかがでしょうか。