プラスチック製のラップは、高温になると溶けたり、化学物質を放出したりする可能性があります。
これが食品に付着してしまうので、ラップ使用の食品を電子レンジなどで暖める際には注意が必要です。
放出される化学物質には有害性が指摘されていますので、ラップの種類と放出される化学物質、正しい使い方などを調べてみました。
ラップには、4つの種類があります。
1. ポリ塩化ビニリデン(PVDC)
2. ポリ塩化ビニル(PVC)
3. ポリエチレン(PE)
4. ポリメチルペンテン(PMP)です。
材質によって、耐寒性、耐熱性、伸縮性、燃焼した時の塩素ガス発生の有無、密着性、伸縮性、透明性、カットの容易さなどそれぞれに特性があります。
そのなかでも、ポリ塩化ビニリデンとポリ塩化ビニルは、「可塑剤」という添加物が含まれていることから、ラップから放出される化学物質の有害性が疑われています。
可塑剤は柔軟性を高めて取り扱いやすくするためのものです。
これは有害性が高く、「内分泌かく乱性」があることが疑われています。
特に高温になったラップと食品が接触することにより、ラップに含まれる添加物が食品に付着混入することの有害性が問題となっています。
|ラップの材質に含まれる添加物|
1. ポリ塩化ビニリデン(PVDC)
添加物は
柔軟剤-脂肪酸誘導体
安定剤-エポキシ化植物油
2. ポリ塩化ビニル(PVC)
添加物は
柔軟剤-脂肪族多塩基酸エステル
安定剤-エポキシ化植物油
3. ポリメチルペンテン(PMP)
添加物 は ポリブデン(ポリオレフィン)
ポリブデンは無臭で無毒、燃やすと炭素と酸素が結合して二酸化炭素、水素と酸素が結合して水を発生するため、環境にやさしい材料といわれています。
4. ポリエチレン(PE)
添加物はポリエチレン単体のものは無添加 。
ポリエチレンとナイロン 混合のものは柔軟剤として脂肪酸誘導体 を含みます。
ラップから放出される有害物質は、ラップの素材によって異なりますが、特にポリ塩化ビニリデンとポリ塩化ビニルは有害性が疑われています。
|ラップが高温になると、有害物質が放出|
1.ビスフェノールA(BPA): これはプラスチック製品の製造に使用される化学物質で、内分泌かく乱物質として知られています。
BPAは加熱されると食品に移行し、健康への悪影響を引き起こす可能性があります。
2.フタル酸エステル: これは柔軟剤として使用される化学物質で、プラスチック製品の製造にも使われます。
加熱されると、食品や飲料に移行し、内分泌かく乱作用や生殖能力への影響が懸念されます。
3.ビニル塩化物: ラップの製造に使用される塩化ビニールからの揮発性有機化合物であり、加熱によって放出される可能性があります。
これはがんの原因物質として分類されることがあります。
これらの有害物質は、食品と接触したり吸引されたりすることで健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
日本では現状、内分泌かく乱物質などの有害物質に関する確定したリストはありません。
ラップに関しては、各企業を信じて正しい使用方法で利用するしかありません。
|ラップを使う食品の安全な温め方|
1.食品をラップで覆う際には、食品に直接触れないようにする。
2.食品を加熱する際には、ラップに穴を開けたり、フリースペースを確保したりして通気性を確保する。
3.ラップの使用方法やラベルに記載されている指示に従う。
4.電子レンジ対応の容器やフタを使用する。
特に油性食品の加熱は耐熱温度を超えることがあるので、ラップで直接包まず、食品を深めの耐熱容器に入れ加熱することです。
また、プラスチック製容器も電子レンジで加熱すると、非常に多くのプラスチックの粒子が放出されることが海外から研究報告されています。
|海外のラップ状況|
EUでは、食品に接触するプラスチック製品に使用できる化学物質のリストが法律で定められています。
米国では、食品に接触する材料から放出する物質も食品添加物とみなされ、間接食品添加物と定められています。
WHOの報告には、これらプラスティック製品に含まれる化学物質は、糖尿病、ADHD、アレルギーやアトピーの原因にも深く関わりがあると指摘されています。
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