当時は定時で仕事から帰ることが出来たので、時間があり、毎晩お菓子を作るのが最大の楽しみだったのです。
ホールケーキを1日に2個作り、家族に苦笑いされたのも懐かしい思い出です。
カフェを開くのが夢だった親友と、家でひたすらお菓子を作ったりもしたものでした。
おしゃべりをしながらお菓子を作るのは、とても楽しい時間でした。
今でも時々、その当時を懐かしく思い出します。
高校卒業後に勤めた職場は非常に忙しく、帰宅後に自分の時間を持つことが出来ませんでした。
そんな私が転職したのは21歳の時です。
新しい職場は定時で終わるため、突然時間が出来たのです。
「何か良い趣味はないだろうか」と本屋さんに行ったところ、ふと、お菓子作りの本が目に入りました。
ページをめくると、きれいでおいしそうなお菓子が、数えきれないくらい紹介されていたのです。
すっかり魅了されて購入し、すぐに必要な材料や道具を買いそろえました。
そこから、お菓子作りをするようになったのです。
帰宅して、身支度を整えたら、楽しい時間の始まりです。
丁寧に分量をはかり、レシピどおりに作業。
少し怠け者の私ですが、お菓子作りだけは、未だにレシピどおりでなければ気が済みません。
きっちり作業すれば、大抵は写真どおりに美しいお菓子が出来上がるからです。
クッキー、クレープ、マドレーヌ、ズコット、チョコレートケーキ。
様々なお菓子に挑戦しました。
もちろん失敗もありましたが、それすらも楽しかったものです。
余熱したオーブンに入れたお菓子を眺める時間が、何より好きでした。
お菓子が焼け始め、家じゅうに良い匂いが漂うころ、仕事を終えた家族が帰宅してきてキッチンを覗きます。
いつも同時進行で夕食を作っていました。
家族が揃ったら夕食をとり、その後に私が作ったお菓子を食べるのです。
大抵のお菓子が家族に好評でした。
おいしいと喜ぶ家族の顔を見るのが嬉しくてたまりませんでした。
当時、親友も近くに住んでおり、休日には一緒にお菓子作りをすることもありました。
彼女はカフェを開くのが夢で、製菓の専門学校にも通っていたので、私よりもお菓子作りが上手でした。
その手さばきを眺めるのも好きでした。
あれから私や妹も家庭を持ち、今は離れて暮らしています。
また親友も別の地域で働いているため、なかなか会うことが出来ません。
今でもお菓子を作るたびに、当時のことを懐かしく思い出します。
20代前半の頃は、暇さえあればお菓子作りをしていました。
私にとって独身時代の一番楽しかった思い出が、この毎日の「お菓子作り」です。
家族は「太っちゃう」と言いながらも、毎日喜んで食べてくれたことも懐かしいです。
あれから、もう20年近くが経過しました。
家庭を持ち、仕事も変わり、以前ほどの頻度で作ることは出来なくなってしまいましたが、今も、お菓子を作るのは大好きです。
休日になると無性に何か作りたくなってしまいます。
これからもきっと、この趣味は続いていくことでしょうね。